10月26日にドロスのライブに行ってから、書きたい書きたいとずっと考えていたことを書こうと思います。もう2022年になっちゃったけど…
10/12.13の横アリ公演と10/26.27の武道館公演で行われた、[Alexandros]のツアー『ALEATORIC ARENA 4 DAYS』。
単発で何個かライブはありましたが、ちゃんとしたツアーは2年ぶりとかでした。
同じライブでもやはりツアーとなると、単発のライブ以上にちゃんとしたコンセプトが出来て、それに伴ってセットリストや演出も組まれるような気がします。
なので久しぶりにツアーというツアーを見たら、抱く感想がありすぎてありすぎて。素敵でした。私なりに感じたこと、考えたことを曲単位でここに残せたらいいなと思います。
の3本立てでいきます。
とりあえず「賞」をつけてあげたかっただけのタイトルなので、こじつけにも無理があるのは承知です。でも一曲一曲に命があるとしたら、それぞれに賞を与えてあげたいくらいの気持ちがあるのも本当です。
定番曲だけど毎回アップデートされてるで賞
◎受賞曲
-
ムーンソング
-
Mosquito Bite
-
Girl A
①ムーンソング
4日間全てで1曲目を飾った曲でした。トマトが月になる映像はいろいろな意味で印象的でした笑
ストリングスのアレンジが加わって、とにかく壮大な雰囲気がありました。これから始まるんだという物語の始まりにふさわしいような、そんなアレンジ。
原曲のイントロはピアノの裏で鳴っているのがギターのみで、切ない雰囲気を漂わせていてそれも素敵だったのですが、ライブではストリングス+バスドラも加わっていた気がします。
原曲が持つ世界観を守りつつ、壮大で華やかな曲にアレンジされたムーンソングを聴いた時、いつかの『NEW WALL』や『明日、また』を思い出しました。この2曲も、ツアーで回を重ねるごとに壮大なアレンジと共に大きく変化した曲です。
ちなみに『明日、また』を聴いた時は『NEW WALL』を思い出して、このポジションは『明日、また』が引き継ぐんだなと考えたことを覚えています。
なのでおそらくムーンソングもそういったポジションを引き継ぐ曲になるんじゃないかなあ…と、曲から曲へのバトンを感じた瞬間でした。
②Mosquito Bite
これは一言で言ってしまえば、「ついに独り立ちした…!(涙)」に尽きます。人じゃあるまいし、気持ち悪い表現ですみませんなんですけども。
この曲をライブで披露し始めたのは、遡ること4年前の2017年冬になります。まだ発売される前から、「新曲です」と言って半年ほどずっとライブで聴いていました。それがやっと発売されたのが、2018年の夏。それからもワンマンに限らずフェスでもほぼ毎回やっていた曲でした。
当時のインタビューでも思いましたが、ドロスはこの曲で戦いたい、Mosquito Biteを名刺代わりになるような曲にしたい、というのをとにかく感じました。
メンバーがこの曲に対して、なんていうか例えるなら、"トップスターになるために訓練するアイドル"みたいな、そういう思いを込めているように見えたというか。だからずっとライブでやり続けたんだと思います。
でも割と最近まで『Kick &Spin』(以下キクスピ)とセットで演奏されていました。なんだかまるでキクスピの見習いにMosquito Biteがいるかのように、ずっとセットでセトリ入りしていた気がします。キクスピ単体はあっても、Mosquito Bite単体はあんまり無かったような…。(フェスとかではあったかもしれません)
それがこのツアーで、""ツアー""で!、単曲でついに固定セトリ入りしたんです。家に帰ってからそれに気づいて、「お前…!ついに1人でも担えるようになったんだな…!」と胸が熱くなりました。
今までキクスピとセットじゃないと発揮できなかったパワーや、背負うことのできなかった会場のボルテージを、ついにMosquito Biteだけで出来るようになったというか。
毎回毎回小さなアップデートを積み重ねてきたからこその、4年越しの大躍進でした。長い長い修行が終わった感じ。
③Girl A
大きなアレンジがされる訳ではないのでこっちに入れたのですが、やっぱり君たち格好良くなるね賞に入れようか迷った曲でした。
ノイズ混じりでかなり打ち込みが多く入った曲です。その、打ち込みの部分がめちゃくちゃ格好良くなってます。冒頭にも書いたように、大きくアレンジされていないので素人では上手く言語化できないのが悔しいんですけど、同じ打ち込みでも音に厚みが出ている、というか。
これをとても感じたのが、『Sleepless in Japan tour』のライブDVDを見ていた時でした。半年間も生で聴いていたのに映像で気付くのが恥ずかしいところなんですけど、ちゃんと整えられた音で聴いたら打ち込みがめちゃくちゃ格好良くて。ヒエ〜〜ッと度肝を抜かれました。
それから注意して()聴くようになったのですが、こういう地道なアレンジや積み重ねがあって曲というのは成長していくんだな…とちょっと思ったりしました。
曲の変化というのはわかりやすいアレンジだけでなく、こういう変化の仕方もあるんだということを素人に教えてくれた曲でした。
久しぶりに会ったらめちゃくちゃ格好良くなってたで賞
◎受賞曲
-
Stimulator
-
Swan
①Stimulator
直前まで次の部門に入れていたのですが、いろいろ考えてこちらで受賞となりました。
単刀直入に、あまりセトリ入りしない曲です。
そして私が大大大好きな曲です。ドロスの曲で一番格好いい曲は?と聞かれたら、絶対にこの曲を答えます。この想いが好きになった時からずっと変わらないくらい、今も昔もずっと大好きな曲です。
2サビ後にある演奏部分のアレンジが印象的でした。原曲を聴いてもらうとわかるのですが、元が静と動がはっきりと分かれている演奏になっています。
それを今回はさらに強くしたアレンジでした。もはや無音の瞬間を入れて、それに合わせて照明もストロボのようになったり映像も消えたりと、視覚も使って静と動のコントラストを強くしていました。
Stimulatorはいわば"ギターロックの真骨頂"のような曲です。
聴いているこちらに休む間も与えないくらい、バキバキに鳴り続けるギターと 止まることを知らないように激しく叩かれるドラムが、この曲が持つ格好良さのポイント。なんていうか一度この車に乗ったら降りれないんじゃないか?!と思ってしまうくらい、勢いのある曲です。特にあのブチ上がるイントロがそう思います。
だから逆を言えば、"ギターロック"という枠から出れない曲のようにも感じていました。前3人はずっと演奏しているので、弾くことをやめてしまったら曲が成立しなくなります。引き算するにもできないような曲の作りなので、アレンジで変化するイメージがどうにも持てなくて。
それが今回、打ち込み部分を大きくアレンジする形で新しいStimulatorを見れたことがとても嬉しかったです。
思えばStimulatorはリリースした2013年当時、バンドが少しずつ打ち込みを取り入れ始めた頃に作られた曲でした。まだ知識も経験もなく仲良くなりきれていない打ち込みと、親睦を深める感じで楽曲に取り入れたのがこのStimulator。
今聴くとちょっと無理あるな〜と言えるような取り入れ方だった打ち込みが、8年後には超仲良くなってアレンジに加わるようになりました。
当時作りたかったStimulatorはこういう曲だったのかな…と、8年後にメンバーがやりたかった本当のStimulatorを聴けた気がするのが、嬉しかったところでもあります。
②Swan
このツアーの個人的ハイライトです。
まず4年ぶりとかにセトリに帰ってきてくれたことに、本当にありがとう。4年前のツアー『We Come In Peace』が終わってから、まるで姿を消したかのようにめっきりとやらなくなってしまって。それからずっと、聴きたくて聴きたくてしょうがなかった。
この曲は絶対アレンジしたらもっと格好良くなると確信していた曲でした。
と言うのも、固定セトリ入りしていた『We Come In Peace』ではアレンジされることなく原曲通りに演奏されていたのですが、どこかロックなSwanになっていたんですね。原曲は浮遊感漂う、洗練されたスタイリッシュな曲だけど、ライブでやるとなんかギターロックなSwanに聴こえて。大人な雰囲気のある曲なのに、オイ!オイ!と勢いのあるSwanというか。私はそれがどこか引っかかっていて。
①のStimulatorでも書いたように、バンドで演奏する以上どうしても、"ギターロックの枠"からは抜け出せなくなってしまうのかなあと思っていました。
それが4年ぶりに再会したと思ったら……めちゃくちゃお洒落にアレンジされて帰ってきました。タイトルにもあるように、久しぶりに同級生に会ったらすごく美人になっていたような感覚。
キーを落として音数を減らして、引き算に引き算を重ね、Swanが持つ本来の雰囲気とかなり近くなっていました。
原曲にある鋭さがマイルドになって、しっとりと歌を聴かせるようなアレンジでした。歌詞を読んでいくと"鋭さ"もかなり大事なキーワードではあるし、言ってしまえば4年前のSwanはこの"鋭さ"に重きをおいた演奏だったかもしれません。
そう、歌詞と言えば、歌を聴かせるようなアレンジになったことで歌詞がかなり聴き取りやすくなったのも嬉しいポイントでした。
Swanは洋平さんが書く歌詞の美しさや奥深さをギュッと凝縮したような曲なので、それが伝わりやすくなったのがとても良かった。何回でも言いますが、Swanは歌詞がいいです。もう一度言います。歌詞がいいです。
やっぱり君たち格好良くなるね賞
◎受賞曲
-
Kill Me If You Can
-
Thunder
①Kill Me If You Can(以下キルミー)
定番曲ではないものの、定期的に登場してはとんでもない爪痕を残していく曲です。
最近はもはや原曲で演奏されたことの方が少ないんじゃないかな、というレベルで毎回アレンジされています。それで凄いのがそのアレンジが毎回違うこと。そしてちょっとだけアレンジとかじゃなくて、違う曲なんじゃないか?というレベルで毎回アレンジしてくること。
ここまで来たら、こちら側もアレンジを楽しみにしてこの曲を待っている感じがあります。
なので今回もやはりやってくれたな!という感じでした。
…とここまで書きつつ、あんまり覚えていなくてメモもあまり残っていなくて()、具体的に書くのが難しいのですが…。言い訳をするとKill Me If You Canの前にやっていた曲がStimulatorで、私の記憶がほぼそっちに持っていかれています。悲しいかなStimulatorを聴けた衝撃でこっちの記憶が吹っ飛んでいて…。
スティミュの歪んだギターとノイズ混じりのアウトロと、キルミーの重低音メインのイントロがいい感じにマッチしてる。
こうiPhoneのメモに残してありました。
こちらも打ち込みが入っていたアレンジだったことは覚えています。2019年の『Sleepless in Japan Tour』でやっていたアレンジと近いかもしれません。
ちょうどYouTubeに公式でありました。これですね。
キルミーのポイントはリズム隊です。イントロではベースがアクセントになっているし、Aメロはドラムとベースだけで進んでいくような、骨太で飾らない格好良さがあります。武器なしでも無敵の強さを誇る人たち、みたいなそういうイメージです。
そこに重低音強めな打ち込みが入ってきて、リズム隊が持つ元々の格好良さを増幅させるのは、もはや納得でしょう。
②Thunder
こちらも定期的に登場してはとんでもない爪痕を残していく曲です。
なので今の[Alexandros]がライブで演奏するとものすごく化けます。原曲はもう変えられませんが、ライブは常にアレンジされて今の[Alexandros]仕様にアップデートされているので、廃れることを知らない曲です。
川上洋平のすゝめ - ひとりごとの記録
前に洋平さんが書く歌詞について書いたブログで、Thunderについてこんなふうに書きました。(接続詞から始まる引用でごめんなさい)
あのブログを書いていた時はツアーが始まる前で、今までのライブを思い出しながら書いていたのですが、アレンジされたThunderが始まった瞬間「ほらやっぱりやっぱりやっぱり…!!!!」ってなってしまいました。やっぱりめちゃくちゃ化けてライブで演奏される…!
アレンジアレンジと私は読んでいるのですが、曲名としては『Thunder(Bedroom ver.)』となります。『Bedroom Joule』というアルバムに収録されています。コロナでレコーディングが出来なくなった2020年、完全リモート制作でリリースされました。
これですこれです…!今回披露されたバージョンのThunderはこれでした。
①と②それぞれの曲に共通して言えることは、型にとらわれずその時の気分で自由自在に変化できる強みを持っているということです。例えるならまるでカメレオンのよう。
またこれは[Alexandros]全ての曲に言えることなのですが、懐かしい曲をやるときにただ「懐かしい」「懐かしい曲が聴けて嬉しい」で終わるのではなく、毎回今の[Alexandros]仕様にアップデートされているところが、[Alexandros]の強みです。
バンドと共に曲もずっと進化し続けるから、古い曲だけど中身まで古くなることはない。
そしてドロスが持っているその強さを思う存分感じることができるのが、私は生音で聴くライブだと思っています。だからドロスの曲を聴いている人たちにライブに行ってほしいと、強く強く思う。
私が[Alexandros]の虜になる理由はここにあるんだろうなと思っています。
話が逸れました。
曲のほかにもう一つ付け足すと、今回のツアーは映像に特化した演出が多いように感じました。そこから付随して、歌詞にフォーカスを当てた曲も多かったように思います。
リリックビデオだったり和訳だったり、一部分のみだったりと出し方に種類はありますが、演奏中歌詞が出てきた曲は
・ムーンソング
・Thunder
・Travel
・Rock The World(新曲)
この5曲だったと思います。記憶だけで書いてるので本当はもっとあったかもしれないけど、確実に覚えているのはこの5曲です。
5曲だけ?と思われるかもしれませんが、ドロスでこんなにも演奏中に歌詞を出すのは割と珍しいほうになります。特に新曲を初披露の段階で歌詞を出してきたのは初めてで、思わずその意図を探ってしまったくらいでした。
また使われている映像のクオリティが上がっていて、凝った映像だったり素材が綺麗な映像が多くあるように思いました。
今までだったら変化の少ない映像(言葉を選ばず言ってしまえばフリー素材のようなもの) だったり、フェスとかでよく見る特効のような一枚絵の映像(どうか伝わってほしい)が多かったのが、最近はツアーや曲のために作られた映像が増えてきたように見えます。
そこが気になって過去の大型ツアーを思い出して軽く比較してみたのですが、
2016年11月から2017年4月に行われたツアー『We Come In Peace』では映像の他に、
・多めの特効
・ダンサー
・セットの1つに上下に動くオブジェ
が使われていました。
2018年12月から2019年6月に行われたツアー『Sleepless in Japan Tour』では、
・リアルな街並みを意識して、今までよりも凝った作りのセット
が印象的でした。
一つひとつ見ていくと
We Come In Peaceは、ナマモノやその場で見て感じられるもの。
Sleepless in Japan Tourは、一つのショーのようなエンターテイメント性といった世界観。
今回のALEATORIC ARENA 4 DAYSは、映像主体の視覚で感じ取る演出。
これらを重視したのではないかなあと思います。
どれが正解とか、どれが一番いいかはそれぞれだと思うけれど、その時その時のバンドがやりたいことや感じたことを顕著に表している演出で、振り返ってみてオォ〜となりました。
記録用として書いたブログなので 行った人にしかわからない内容になっているのですが、なにかの間違いでこれを読んでくれた人が、[Alexandros]のライブ行ってみたいな〜と少しでも思ってくれたら幸いです。
ライブを見ていて、今までの曲が置いていかれることなく 新曲たちと馴染んでいくアレンジも気持ちいいし、逆に新曲が今までの曲に馴染んでいく過程もいい。つまり新旧織り交ぜたセットリストでも、どちらも引けを取らない格好よさがある。
色々なライブでたくさん聴き続けてきたからこそ感じたことがたくさんあって、こうして書き残した次第であります。
そういえば、今書いたライブ映像が初回盤に収録されたCDが2月16日に発売されるそうですよ。
是非!
2/16発売 New Single
— [Alexandros] (@alexandroscrew) February 5, 2022
「Rock The World / 日々、織々」
初回限定盤収録
『ALEATORIC ARENA 4 DAYS 2021.10.27 NIPPON BUDOKAN』
ティザー公開!https://t.co/kZLohFSQrQ#Alexandros #rocktheworld#日々織々 pic.twitter.com/q9ENwzrrz3